Kei Hirakura/平倉 圭
「ゴダール的方法」
Kei Hirakura/平倉 圭
「ゴダール的方法」
¥3,520
〈Content〉
ハイ・レゾリューション・ゴダール!
その音‐映像を0.1秒オーダーで注視せよ。高解像度の分析によって浮かび上がる未聞のJLG的映画原理。映画史=20世紀史を一身に引き受けようとするゴダールは、映画に何を賭しているのか? そして21世紀のゴダールはどこへ向かうのか?映画論の「方法」を更新する新鋭の初単著。ゴダールとともに、知覚経験の臨界へ!
《ゴダールの映画にもまた、そのような「新たなる視聴」の誕生を促す高解像度のスタイルがあると言うことができるだろう。本書はいわば映画の「新しい観客」としてふるまい、ゴダールの映画をデジタル編集台で操作・変形することで分析の解像度を更新しようとしている。私たちは編集台に接続し、高解像度ゴダールの経験に突入する。そして他人の映画をヴィデオテープやDVD、あるいはネット動画から引用して再編集してしまうゴダールの映画のなかには、私たちがそのような「新しい観客」としてふるまうことを押しとどめるいかなるものも存在しない。》 (本書序章より)
担当編集者からのコメント:
本書『ゴダール的方法』は、著者の博士論文 (東京大学) が元になっていますが、そもそもその「パフォーマティヴな性格を決定づけた」 (本書「あとがき」より) のは、2007年春にphotographers’ galleryにて開催し、多くの評判を頂戴した連続講座「ゴダール・システム」 (全3回) です。そのレクチャーは、ゴダールが映画を作る──音‐映像を繋いでいく──作業から何を立ち上げようとしているのかを、もういちど擬似的な「編集台」のうえに戻して、0.1秒オーダーで注視し、解明していこうとするものでした。「再編集」とも言い得ようその映画 (分析) の経験は、「レクチャー」という形式をとったパフォーマンスを通じて、ゴダール‐平倉‐オーディエンスへと橋渡しされ、「目撃」の場を発生させました。そして、目撃、すなわち見て‐聴いてしまったという不可逆な経験の裏面に貼り付いてやまぬ、「見逃し‐聴き逃し」の潜在をめぐる理路を考察したのが、やはりこのギャラリーの機関誌、『photographers’ gallery press no. 7』 (2008年) に掲載された論考「バッド・リスニング──ゴダール‐ゴランと複数の顔/音」です。ゴダールの映画を見る‐聴くという経験が、私たちの知覚をその臨界へと導いていく──それが、平倉ゴダール論のアルファにしてオメガです。レクチャーに参加いただいた方も、論考をお読みになった方も、むろんそうでない方も、その後おおきく発展した平倉ゴダール論の全貌を、そしてその最終的な「結論」を、書物『ゴダール的方法』にて「目撃」いただきたいと思います。
平倉圭「ゴダール的方法」
A5版上製336頁
装幀:間村俊一
装幀用図版:『ゴダール・ソシアリスム』 (ジャン=リュック・ゴダール監督作品、2010年)
発行:インスクリプト
発行日:2010年12月25日
定価:3,200円+税