Shuji Akagi/赤城 修司
“Fukushima Traces, 2017” 2018/03/11 - 2018/03/25 12:00 - 20:00 会期中無休 / DAILY OPEN

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この度、photographers’ gallery では企画展として赤城修司写真展「Fukushima Traces, 2017」を開催する運びとなりました。赤城は福島市内の高等学校で美術教員として勤めながら、2011年の東日本大震災以後、放射能による汚染土や除染作業など、日常に出現した「それまでになかった」事象と光景を丹念に記録しtwitter上でも発表し続けています。
また、全国各地での講演やユニット「グランギニョル未来」への参画、そして写真集『Fukushima Traces, 2011-2013』を出版するなど、その活動は多岐にわたっています。
本展では、これまでの赤城の写真には見られなかった、車窓越しの風景や夜間の街を撮影した写真などを含め、事故後7年を経た、2017年の写真が展示されます。

展示内容/Cプリント、インクジェットプリント、69点。ドローイング、2点。スライドムービー。


photographers’ galleryでの展示に寄せて

2011年、最初に作業員に声をかけたときには、何のためらいも感じなかった。「撮っていいですか?」と聞くと、「いいんじゃないですか? 市でやっていることだし。別に悪いことしているわけじゃないし。」とあっけらかんとした返事が帰ってきた。
2012年頃から、撮影をしようとすると険悪になることが多くなった。手抜き除染がニュースになり、作業員は撮影されることに警戒しだした。マスクをしていないことがバレると困るなどの小さな理由で、撮影を断られることも増えていった。僕は、「そんな小さな理由で、こんな歴史的なシーンが後世に残らなくなってしまうのか。」と、悔しく思った。同時に、こうして多くの重要なものが、些細な配慮のために歴史から消えていっているのだと思った。
間もなく7年が過ぎようとしている。ここ最近は、「撮ってもいいですか」と聞くと、あっさり許可されることが増えている。作業員も特に警戒しない。人々はコンビニの前で除染作業が行われていても、何も感じないように買い物をして出ていく。そういえば、自分の部屋も同じだなと思った。最初はゴミだと認識していても、それが長い間そこに置かれていると、当然に思えて気づかなくなることがある。
つい先日も、「撮ってもいいですか?」と言ってコンビニ前の除染を撮影した。「ありがとうございました。」と言って撮影を終えて、コンビニに寄った。お弁当を買って僕も平然とコンビニを出た。

赤城修司



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トークイベント
「林の中にいるのだが樹が見えない」
鵜飼哲
(フランス文学・思想研究)×赤城修司

赤城は写真集の後書きで「はじめて「がんばろう福島」の看板を見た時、そのあっけらかんとしたポジティブさに、また<不気味さ>を感じた」と綴っている。
不気味さは、放射能汚染物質を梱包するブルーシートの出現と並行して、震災 直後に街にあふれた「がんばろう福島」「がんばろう東北」「絆」「心を一つにNippon」等の看板にもあった。
対話者に鵜飼哲を迎え、赤城がとらえる<不気味さ>の背後にも話は及ぶことだろう。
日時:3月21日(水・祝)16:00~17:30
参加費:1000円 定員25名(要予約)
[2018/2/24]定員に達したため、受付を終了致しました。

【モニタールーム】 本会場と同フロアの別室にてモニターでの中継でご覧いただきます。
参加費:500円 定員10名(要予約)

▼モニタールムご予約はこちらから
https://ssl.form-mailer.jp/fms/12974fbc558999


Shuji-Akagi Satoshi-Ukai

Shuji Akagi/赤城 修司

1967年福島県生まれ。1989年筑波大学芸術専門学群洋画コース卒業。青年海外協力隊員として1994年より2年間ブルガリアに滞在、美術教師として活動。出品展に、「未来の体温 after AZUMAYA」(山本現代、アラタニウラノ、2013)、「Transmission」(スタジオ35分、2014)、「赤城修司+黒田喜夫-種差デコンタ2016」(八戸市美術館、2016)、「Perpetual Uncertainty」(マルメ美術館 スウェーデン、2018)他。また、2015年より「グランギニョル未来」に参画、同メンバーとして帰還困難区域で開催の“見に行くことができない展覧会”、「Don’t Follow the Wind」に出品中。写真集に、『Fukushima Traces, 2011-2013』(Osiris、2015)。現在、福島市在住、高等学校美術教員。