「写真0年 沖縄」展とは
2007年は、沖縄が日本に復帰して35年という節目の年であり、また沖縄に県立美術館が開館するという、沖縄にとって注目すべき年でもあります。この年にあたって企画された本展では、1979年の「ぬじゅん」展や2003年の「琉球烈像」展(復帰30周年イヴェント)といった、沖縄と本土の写真家たちとの交流のなかで実現されてきた展覧会を、さらに引き継ぎ、そして5年後(復帰40年)へと向けたなかで、《沖縄》と《写真》の関わりを問い直すことを目指しています。沖縄在住の写真家比嘉豊光、1970年代から沖縄に関わりつづけてきた東京の写真家浜昇、そして75年から80年までのコザの米兵の歓楽街を撮り続けた北島敬三。この3人の展覧を中心とし、それにくわえ、現在沖縄・東京それぞれで活動している若手写真家たちの現在進行形の作品をあわせて展示します。70年代そして現在時の写真を並列的に展示することによって、記憶の場所、時間の政治学、顔と風景の光学などの諸相がひとつのパノラマとして交錯的に浮かび上がり、そのとき、沖縄をめぐって写真はどのようにかかわりをもってきたか、そして今もちうるのか、という問いがあらためて検証されることになるでしょう。そのような再考の機会とするために、本企画では、展覧会開催のみならず、それにあわせて、多数論考をふくむカタログ・記録集を刊行し、本土・沖縄の論客によるシンポジウムを開催し、また本展にいたるまでの映像記録を制作する、といった作業をつうじて、《沖縄》と《写真》をめぐるさまざまなコンテクストを浮き彫りにします。沖縄にとって写真とはなにか、写真にとって沖縄とはなにか、そして写真とはいったいなにか。復帰35年に開かれる本展は、この問いを開くための出発点(「0年」)です。写真界のみならず、表現を考えるさまざまなフィールドの人々にたいして、強いインパクトを与えるものとなることでしょう。
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