長町文聖は、自身が暮らす東京都町田市の風景や人を撮影し発表を続けています。本展では、町田市の風景を撮影した作品を発表いたします。ぜひご高覧ください。

展示内容
インクジェットプリントによるカラー作品

6月は雨がよく降った。朝に晴れていてもやがて曇りになり、雨は降ったり止んだりを繰り返した。毎年この季節は草がいたるところで伸びるが今年はひときわそれを感じる。伸びた草木は湿気を帯びた深い緑となった。季節は繰り返される。私は緑を探して外を歩いた。
娘と受験について話すことが増えて、ふと自分の高校時代を思い出してみる。よい思い出ではない。クラスの人の名前を覚えられなかった。授業がどの教室で行われるか分からなかった。ほとんどの人と話はしなかったし話しかけられることもなかった。先生の名前も覚えられなかった。
高校を卒業して数十年が過ぎたが、同じことを今でも繰り返す。折れないように消えないように育まれて変わらないところが私の中に確かにあるのだろう。名前も知らない草木を眺める。刈り取られてもまたすぐ伸びてくる植物の姿に気持ちが軽くなる。どんどん伸びたらいいと思った。

長町文聖