Keiko Sasaoka/笹岡 啓子
“True View of Kuma-yama/久万山真景” 2012/05/08 - 2012/05/20 12:00 - 20:00 月曜休 / MON CLOSED

Keiko Sasaoka/笹岡 啓子: “True View of Kuma-yama/久万山真景”
Keiko Sasaoka/笹岡 啓子: “True View of Kuma-yama/久万山真景”

協力/町立久万美術館

本展では、2009年に町立久万美術館 (愛媛県) によって企画された展覧会「歸去來兮 (かへりなん いざ) ――[久万]再発見旅人のレンズ」に出品された笹岡啓子の作品を展示致します。久万高原町は愛媛県中南部に位置し、仁淀川の源流が流れ、霊峰・石鎚山をはじめとする四国山地の山々に抱かれた自然豊かな里山です。そこには先祖代々の家に住み、庭には四季折々の草花を植えて、近隣の人たちと親しく向き合う、なごやかな暮らしがあります。一方で、町村合併により県下最大の行政区域となった町は、過疎化と高齢化が進んでいます。旅人によって撮影された作品を通じて、自らの地域を問い直そうという美術館の企画により、笹岡は2008年夏から2009年春にかけて久万高原町を撮影しました。

笹岡はまず、江戸時代後期に松山藩絵師・遠藤広実によって描かれた《久万山真景絵巻》 (町指定文化財・久万美術館蔵) とのコラボレーションを試みました。《kuma diptychs》と題された作品は、四国八十八カ所第四十五番札所の岩屋寺をはじめ、26景が描かれた絵巻の場所を、笹岡が地元の人々に尋ねながら同定し、撮影したものです。植林により150年前とは大きく異なる山々の姿など、開発の歴史や地勢の変化が明確になる一方で、描かれた絵巻の場面に近い形をとどめる奇岩など、地域の人々が守り引き継ぐものが見出されていきます。もうひとつの作品《kuma triptychs》は、絵巻の撮影プロジェクトとは別に、笹岡が現在の久万高原町を撮影したものです。山を崩すのではなく、山を育て、ともに暮らしてきた地域の人々が作り出す現在の風景を、笹岡は「旅人=外部」の眼で写し撮っていきます。これらふたつの作品からは、その背景にある久万高原の記憶と物語が掘り起こされ、豊かな風土が新たに紡ぎ出されています。


03-3Keiko Sasaoka/笹岡 啓子: “True View of Kuma-yama/久万山真景”

Keiko Sasaoka/笹岡 啓子: “True View of Kuma-yama/久万山真景”


展示内容/《kuma diptychs》 Cプリント、500 x 500mm、29点  《kuma triptychs》 Cプリント、750 x 750mm、15点
展示内容/《kuma diptychs》 Cプリント、500 x 500mm、29点
《kuma triptychs》 Cプリント、750 x 750mm、15点


▲参考資料:《久万山真景絵巻》第一巻の部分、久万美術館蔵
▲参考資料:《久万山真景絵巻》第一巻の部分、久万美術館蔵
▲参考資料:《久万山真景絵巻》第一巻の部分、久万美術館蔵