米田拓朗は、今年1月の個展「Summer Study」で、山梨県笛吹市の桃農家を撮影した作品を発表しました。本展では、その桃畑が広がる土地に流れる、笛吹川を撮影した写真を展示いたします。冬の笛吹川は、毎年2月頃に野焼きが行われることもあって、夏には生い茂る草や豊かな流れに覆われていた石が姿を現します。そうしたなか米田は、大小入り交じって積み重なっていたり、土になかば埋もれていたり、水位の下がった水面や崩れた川岸から姿を現したりする、

さまざまな石を写し取っています。それらの石は、どこから流されてきたのかも、そしてどのようにして今ある形になったのかも、定かではありません。しかし、さまざまな姿かたちをしてとどまっている石は、目が離せなくなるような不思議な存在感を放っています。川底や川岸の石を数多く撮影した写真が展示される本展は、今までにない新たな川のかたちを浮かび上がらせることでしょう。ぜひご高覧ください。