「群写真」考: 第1回北島敬三WORKSHOP写真塾公開講座

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「群写真」考──東松照明におけるモダニズムの条件

内容紹介(文責:土屋誠一)
私たちは写真という芸術と向き合う際、つくり手であれ鑑賞者であれ、「写真の編集」という事態と無関係ではありません。複数の写真を、連続的なストーリーとして、あるいはゆるやかな想起の連合として、さらにあるいは写真の複数形はカッコに入れて単一のタブローのように、それを強く意識するとしないとにかかわらず、内面化された様々な慣習にしたがって扱っています。「群写真」とは聞きなれない用語かもしれませんが、日本における「戦後写真」の最重要人物であった東松照明(1930-2012)が提唱した、写真の編集法についての画期的な概念(1970)です。しかしながら、これがいかなるシステムであるのか、ほとんど理解されていないのが現状であり、そもそも東松自身、どの程度自覚的に方法論を組み立てていたのかさえはっきりしない曖昧な概念です。今回の講義では、この概念の概略を説明しつつ、その成立のあらましを、東松におけるその時代との、そして東松周囲の環境との関係を踏まえつつ歴史的に辿ります。そしてこの概念が今日どの程度使用可能性を持つのか否かを問い、その後の土屋、倉石、北島によるトークでは、写真の編集上の扱い方の議論を行うとともに、戦後日本において展開されてきた写真表現のハードコアを把握することを目論みます。

◎北島敬三WORKSHOP写真塾 公開講座
「群写真」考──東松照明におけるモダニズムの条件
開催日:2017年10月7日(土)
会場:photographers’ gallery
講演:土屋誠一 16:00〜17:00
鼎談:土屋誠一、倉石信乃、北島敬三(司会) 17:10〜18:30
聴講費:2,000円
定員25名・要予約
※本講座の聴講は、北島敬三WORKSHOP写真塾の受講者を問わず、どなたでもご参加いただけます。
[2017/10/5]定員に達したため、受付を終了致しました。

【モニタールーム】 本会場と同フロアの別室にてモニターでの中継で聴講いただきます。
聴講費:1,000円 定員10名
[2017/10/5]定員に達したため、受付を終了致しました。

※ご予約後、お客様のご都合によりキャンセルされる場合はお手数ですがご連絡をお願い申し上げます。連絡なしでご欠席の場合、後日聴講費をご請求させていただく場合がございます。スペースの都合上、定員に限りがありますゆえ、なにとぞご協力とご理解をお願い申し上げます。

▼北島敬三WORKSHOP写真塾についてはコチラ▼
https://pg-web.net/workshop/workshop-2017/


土屋誠一/Seiichi Tsuchiya

1975年生まれ。美術批評家、沖縄県立芸術大学准教授。共著に『絵画検討会2016』(アートダイバー)、『現代アート10講』(武蔵野美術大学出版局)、『批評 前/後 継承と切断』(ユミコチバアソシエイツ)など。

倉石信乃/Shino Kuraishi

1963年生まれ。明治大学教授。近現代美術史・写真史。1988~ 2007年、横浜美術館学芸員としてマン・レイ展、ロバート・ フランク展、菅木志雄展、中平卓馬展、李禹煥展などを担当。 1998年重森弘淹写真評論賞、 2011年日本写真協会賞学芸賞を受賞。主な著書に『スナップショット―写真の輝き』(2010年)、『反写真論』(1999年)、『失楽園 風景表現の近代 1870-1945』(共著、2004年)など。

北島敬三/Keizo Kitajima

1954年生まれ。日本写真協会新人賞、木村伊兵衛賞、伊奈信男賞、日本写真協会作家賞、東川賞国内作家賞、さがみはら国内作家賞を受賞。写真集に『写真特急便 東京』(全12冊)、『NEW YORK』、『A.D. 1991』、近刊に『PHOTO EXPRESS TOKYO』、『USSR 1991』など。国内外で写真展を多数開催。現在、2001 年に創設した photographers’ gallery を拠点に、「UNTITLED RECORDS」を制作・発表している。