Takuro Yoneda/米田 拓朗
“石の国” 2019/06/18 - 2019/07/07 12:00 - 20:00 会期中無休 / DAILY OPEN

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四方を山で囲まれた甲府盆地に流れる笛吹川は、夏には豊かな流れが川筋を大きく変化させ、大小さまざまな石を運んできます。そして冬には野焼きが行なわれることもあり、生い茂る草や水流に覆われていた石が姿を現します。川底に沈んでいたり、土になかば埋もれていたり、川岸に打ち上げられていたりと、その姿かたちはさまざまです。
本展で発表される写真は、そうした笛吹川をはじめとする山梨県内の川や道々に転がっている石です。これらの石はみな、とりわけ特徴的な形をもつわけでもなく、何の変哲もないものばかりです。
川の石は、どこから流されてきたのかも、そしてどのようにして今ある形になったのかも定かでありません。また道々の石も、どういったいきさつでそこに転がっているのか分からないものばかりです。米田が撮影する石はどれも、元をただすことが叶わず、まるで過去もしくは未来から唐突に目の前に届いたかのような、不思議な存在感を放っています。

*展示内容/インクジェットプリント、18点


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米田拓朗『丸石拾遺集』

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本展にあわせて、笛吹川流域に多数見られる丸石神100基を撮影した『丸石拾遺集|Maruishigami』を刊行いたします。
「丸石神」は丸い石を祀った石造物で、日本の中でも山梨県内に集中的に見られるものです。古くから民間信仰の対象とされ、集落の境や辻、神社の境内や民家の庭先などに据え置かれており、その数は700以上と言われています。丸石の大きさは、握り拳ほどのものから直径1mほどのものまで様々で、ぽつりとただ1つ置かれているものもあれば、数十個が積み重なって置かれているものもあります。多くは道祖神として祀られていますが、 屋敷神として祀られているものや、供物のようにして置かれているものもあり、起源や来歴は定かでありません。誰とも知れぬ人たちが、どこからとも知れず持ち寄った丸石の姿は、現在とは異なる時間からの届き物のような、不思議な魅力に溢れています。
米田は笛吹川流域を中心に丸石神を探し歩き、650基余りを撮影しました。『丸石拾遺集』には、そのうち100基を収録したポストカード100枚が、丸石神についてのテキストを収めた小冊子と、丸石神の分布を記録した地図とともに、特製函に収められています。

*「石の国」展会期中、KULA PHOTO GALLERY(photographers’ gallery向かい)にて『丸石拾遺集|Maruishigami』所収のカード100枚を展示しています。

米田拓朗『丸石拾遺集|Maruishigami』
カード 100 枚+地図+小冊子/特製函
142 x 190 x 40 mm(カード:100 x 148 mm)
定価:3,600 円+税
発行:KULA
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