写真集『CLUB ORION』刊行記念Keizo Kitajima/北島 敬三
“CLUB ORION” 2023/11/01 - 2023/11/19 12:00 - 20:00 会期中無休 / DAILY OPEN

※KULA PHOTO GALLERYにて展示を縮小して再構成し12月3日まで会期を延長しました。
この度、北島敬三写真集『CLUB ORION: Photo Express Tokyo-Koza』をKula Booksより刊行する運びとなりました。つきましては出版を記念し、本展覧会を開催致します。


写真集『CLUB ORION』は、撮影から約40年後に現地コザで開催された「PHOTO EXPRESS Koza 2022」の展示記録であり、過去と現在の写真モンタージュでもある。

北島敬三は1975年から1980年の間、足繁く沖縄のコザに通い写真を撮っていた。それらの写真は、ほぼ同時進行で新宿を中心に撮影されたものとともに、「写真特急便 東京」(1979年、全12回)、「写真特急便 沖縄」(1980年、全6回)として、自らが設立参加していたIMAGE SHOP CAMPというオルタナティブ・スペースで毎月開催される連続展として発表された。事実上のデビュー作となったこれらの写真はしかし、「写真特急便 東京」の小さな成功と「写真特急便 沖縄」の挫折という苦渋が折り重なったものとなった。

北島は当時、「もうこの島に、二度と来ることはないだろう。もし機会があれば、カメラを持たずに一人の観光客として訪れたい。少なくともそこに嘘はないから。」と語っていた。コザでの撮影を断念するにあたっては、素朴すぎる感想かもしれない。しかし、コザで経験した撮影行為に付帯する原罪感は、その後の写真家の活動に濃い影を落とし続けることになる。実際、北島が再び沖縄を訪れたのは2002年、友人の写真家から誘われた展覧会に参加するためであった。23年の歳月が流れていた。そのことについて北島は、「突然の誘いに、なぜかほっとするような気持ちが湧いた。」と語っていた。それ以後、折を見て再び沖縄を訪れるようになり、「UNTITLED RECORDS」のシリーズを撮影すると同時に、かつて撮ったコザの写真を、機会を選びながら少しずつ発表していく。現時点から見ればこうした時間は、やがてコザの写真を現地で展示することを可能にするための、必要最低限の階梯だったのかもしれない。

2022年7月、北島は「ぬじゅん2022」展への参加を契機に、コザでかつての写真の展示を敢行した。会場探しを始めた当初、北島は白壁のギャラリー空間ではなく、パークアベニュー(旧B.C.ストリート)の大衆食堂のような場所を念頭に置いていたという。その北島にとって、古風な電飾に囲まれた「SKATE CLUB ORION」の看板を発見したことは、最良の出来事だったのかもしれない。建物の外観とその看板文字は、北島が40年ほど前に撮影していた「CLUB ORION」というAサインバーの雰囲気をそのまま残していた。建物の中に入ると、子供たちがクールにスケートボードの練習に興じていた。内装も外観と同じように、過去と現在が混在するようなハッシュでブリコラージュ的な仕様になっている。薄汚れた小さなスクリーンには、最新のヒップホップ映像が映し出されていた。これらはすべて、ギミックではない。プロスケートボーダーでもあるオーナー・才哲治氏のストリートに対する基本的な考えに拠っていると思えた。

北島はオーナーとスタッフの協力を得て、1週間そのスクリーンにかつてのコザの写真をエンドレスで上映した。それ以外、ここを何一つ変えてはならなかった。


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2023年11月1日発売予定、予約受付中!
【予約特典】送料無料

Kitajima Keizo 『CLUB ORION: Photo Express Tokyo-Koza』
B5判変型/並製・スリーブケース入/80頁
限定700部/サイン・エディションナンバー入
テキスト:倉石信乃「写真の帰る場所」(和英併記)
発行:Kula Books 価格:4,200円+税
ISBN 978-4-907865-38-2
https://pg-web.net/shop/pg-kula/club-orion/