マルグリット・デュラス上映会 解説:岡村民夫
ゴダール、アラン・レネをはじめ多くのファンを持つマルグリット・デュラスですが、しかしその映画見る機会はほとんどありません。今回は、岡村氏に解説をお願いして、貴重な作品の中から5本を選んで部分上映しました。
2004年5月に開催した佐藤真監督による「阿賀に生きる+阿賀の記憶―SATO MAKOTO SELF PROJECTION 2004」でのトークゲストとして岡村氏にお越しいただきました。そのトーク中、「『阿賀の記憶』はデュラス的な〈声〉の記憶、〈音〉の映画である」という岡村氏の感想をきっかけにデュラス上映会は開催されました。
〈OFFの声〉(※物語られるストーリー〈声〉とストーリーの展開する場所、撮られる場所とに隔たりがある)とその〈ことばの色〉と呼ばれるデュラス映画の特徴を、場所の撮り方と建物との関係を中心に解説、紹介していただきました。
窓・鏡・庭などをモチーフとして視線の扱いを重視した初期の「ナタリー・グランジェ」から、デュラス自身の〈OFFの声〉による「アガタ」へと、明解なレクチャーと共に観るデュラス映画は、各作品のポイント部分のみの上映であったにもかかわらず、そのエッセンスに充分に触れるものとなりました。上映会終了後、当然のことながら、会場からは各作品の一般ビデオ化またDVD化を望む声が多く聞かれました。
【部分上映作品】
[1] 「ナタリー・グランジェ」(1972)
[2] 「インディア・ソング」(1974)
[3] 「ヴェネツィア時代の名前」(1976)
[4] 「アガタ」(1981)
[5] 「オーレリア・シュタイネル(メルボルン)」(1979)/「オーレリア・シュタイネル(ヴァンクーヴァー)」(1979)