Kumi Yokoyu/横湯久美
「Time Indoors Outdoors」

Kumi Yokoyu/横湯久美 「Time Indoors Outdoors」

Kumi Yokoyu/横湯久美
「Time Indoors Outdoors」

¥500

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Kumi Yokoyu/横湯 久美「Time Indoors Outdoors」 Kumi Yokoyu/横湯 久美「Time Indoors Outdoors」 Kumi Yokoyu/横湯 久美「Time Indoors Outdoors」

photographers’ galleryとIKAZUCHIで開催された個展「メルヘンの履歴 2007」の作者、横湯久美氏の作品集です。

「Time Indoors Outdoors」は、4年間の私と祖母のやりとりを作品にしたものである。その祖母の生活歴を書いてみる。祖母は、1914年第一次世界大戦の始まった年に静岡県に生まれる。初めてチョコレートを食べた17年にロシア革命勃発。22歳で結婚。第二次世界大戦の始まった年に私の母を出産。翌年に夫、死亡。思想犯の未亡人として幼い子どもを抱え、職と住居を転々としながら、終戦を迎えている。そして、66年の8月9日長崎原爆記念日に、二番目の孫として私が誕生。その後、娘家族と札幌へ移住。そして、日本人女性の平均寿命が84.62歳になった2000年に85歳を前にして亡くなった。

死んだ者は写真に写らない。私の写真に祖母は写らなくなった。新しい世紀になった途端に、私の見る風景は一変してしまった。現在、私は東京にいて、思い出の地、札幌を繰り返し訪れている。この前の冬は暖かで、札幌の雪は重くしめっていた。みんな温暖化の影響だと言っている。いつもなら、パウダースノーで雪ダルマの数は少ないのに、今年の景色はちがっていた。祖母も消え、雪も消え、20世紀という時も見えなくなっていく。変化してしまう記憶に怖れながら、残った彼女の写真群を抱え、自らに起こる変化や忘却のありようを眺めている。過去があって今がある。記憶は変化しつつゆらめきながら、固定化していくようだ。

横湯久美「Time Indoors Outdoors」
B6判/32ページ (カラー写真12ページ)
発行日:2007年10月
価格:500円(税込)