展覧会:北島敬三 “Places” 銀座ニコンサロン

3月13日より<ニコンサロン特別企画展 Remembrance 3.11 北島敬三写真展「PLACES」>が、銀座ニコンサロンで開催されます。是非お越し下さい!

<企画主旨>
東日本大震災から二年が過ぎようとしています。甚大な被害を受けた被災地では復旧が進んでいるように見えながら、その爪痕は今なお残り、多くの人々は未曽有の体験がもたらした深い悲しみやトラウマを忘れることができないでいます。
写真の世界も同様です。多くの写真家たちが被災地へ出かけ、写真にできることは何なのか、写真を撮ることとは何なのかを問われ続けてきました。
ニコンサロンでは大震災から二年という節目にあたり、企画展を開催しあらためてこのカタストロフィの意味を省察したいと考えます。
Remembranceという言葉は、記憶や回想だけではなく、追悼や形見という意味も持ち、何よりもそれは想い出すことが現在をつくりだすことを示しています。それは写真の本質とも重なってきます。
日本人の誰もが記憶を持ち、今なお語り続けているこの震災の意味を、再生への手がかりとして展示と対話から浮かびあがらせたいと思います。

<写真展内容>
北海道の釧路に着いた翌日の午後、作者はこれまで経験したことがない大きく長い揺れに襲われた。ただ事ではないと思い、早々と撮影を切り上げホテルに戻り、テレビのスイッチを入れた。震源地は三陸沖、マグニチュードは8.9、東北の太平洋沿岸は津波の危険性が非常に高い、刻々と情報が伝えられる。各地のテレビ画像は、どれもみな港周辺を注意深く定点観測している。まだ海は静かで、ときおり人影も見えた。しかしみるみる水かさが増し、黒い津波が堤防を乗り越えて襲ってきた。なす術も無く、船も、車も、家屋も、何もかも押し流され破壊されてゆく。宮古、釜石、気仙沼、仙台、同時中継の画像が次々と切り替わる。釧路港周辺も映し出された。私が先ほどまで撮影していたショッピングモールの駐車場でも、クルマがどんどん押し流されている。ホテルから徒歩10分の距離だ。思わず立ち上がり、窓から外を見た。普段と変わらない様子に少し安堵したが、作者の足は震えていた。
それから毎日、写真を撮る以外は、被災地や原発事故のテレビ画面に釘付けになっていた。作者は、その非現実的な映像に戦慄した。しかし同時に、尺度を超えた自然現象を見るときのような崇高さを感じたのも事実だ。そんな余裕があったとすれば、作者が見たテレビ画像には、すでに配慮がほどこされていたのかもしれない。やはり後で聞くと、集められた未編集の映像の生々しさにショックを受け、体調を崩し職場を離れたテレビ局スタッフもいたという。
大災害が起こるとすぐに被災地を撮影する者がいる。間接的な関わりを模索する者もいるだろう。無関心こそを是とする者もいるはずだ。たとえ千年に一度の大災害であろうと、いきなり自分の撮影対象か、否かを考えてしまうところに落とし穴があるのではないか。確かなのは、このまま予定通り3月末まで北海道各地の風景の撮影を続けることだと思った。そして4月初旬、作者は決意して被災地を訪れた。

■ニコンサロン特別企画展 Remembrance 3.11
北島敬三写真展「PLACES」
3/13 (水) ~3/26 (火)
10:30~18:30 (最終日は15:00まで)
会期中無休