展覧会:“小原真史 イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示”
京都伝統産業ミュージアム

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「学術人類館」(第五回内国勧業博覧会)1903年、個人蔵

KYOTO EXPERIMENTのプログラムの一環として、京都伝統産業ミュージアム企画展示室にて「小原真史 イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示」が開催中です。『photographers’ gallery press no.14』にて特集した「「人類館」の写真を読む」での誌面キュレーションを基点に、約1500点の写真や絵葉書などのコレクションと約200点のスライドで構成されています。ぜひご覧ください。

◉『photographers’ gallery press no.14』

特集:「人類館」の写真を読む
「人間の展示」に関する図版約200点を掲載。本展の振り返りにぜひお求めください↓↓
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2019年12月20日発売/B5判/360頁/2750円(税込)


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「パリ国際植民地博覧会の眺望」(パリ国際植民地博覧会)1931年、個人蔵

見られる身体の歴史

19世紀末から20世紀初頭の欧米では、博覧会が隆盛期を迎え、人々がモノの展示を通じて新たな世界認識を得る空間が作り出されていた。初期の万博は、産業製品の先進性にしのぎを削る「産業の祭典」という側面が強かったが、やがて植民地拡大にまい進する帝国主義国がその国威をアピールするショーケースのような空間になっていく。日本でも1903年の第五回内国勧業博覧会で植民地・台湾のパビリオンが建設され、そのほかにも余興施設として「内地」周辺の「異民族」を展示する「学術人類館」と呼ばれる施設も登場した。
インディペンデント・キュレーターの小原真史が企画した本展では、第四回内国勧業博覧会跡地の岡崎エリアに位置する京都伝統産業ミュージアムを舞台に、日本における博覧会初の人間の展示施設となった「学術人類館」にまつわる新発見写真や世界各国で行われた同様の資料約1000点などにより、この時代の人々が植民地や異文化をどうイメージしていたか、またその欲望の所在を探る。
舞台芸術祭の一環として開催される本展は、観客とパフォーマーとの「見る/見られる」という関係性や、西洋の他者として位置付けられてきた身体の歴史をたどるという意味で、大きな意義をもつだろう。2025年大阪万博を控えた関西において、博覧会が幻視させてきた明るい未来像の陰の部分にスポットライトを当てることで、グローバリズムの綻びや人種差別の問題、国家イベントの意味を考えてみよう。

会期:2月6日(土) – 2月28日(日)
時間:9:00–17:00 (入館は16:30まで)
*2.15のみ休館。
*混雑状況により、入場制限をさせていただく可能性があります。

会場:京都伝統産業ミュージアム 企画展示室
〒606-8343  京都市左京区岡崎成勝寺町9住所の1  京都市勧業館みやこめっせ 地下1階

当日券 一般: ¥500 ユース・学生: ¥300 高校生以下: 無料

【 トークイベント「博覧会・博物館と人間の展示」】
2月28日(日) 14:00-16:00
吉田憲司(国立民族学博物館館長)、 小原真史
オンライン配信
配信URL
https://www.youtube.com/watch?v=TOcn8Ft30KA&feature=youtu.be

KYOTO EXPERIMENT
https://kyoto-ex.jp/shows/2021s-masashi-kohara/


小原真史/Masashi Kohara

1978年生まれ。映像作家。東京藝術大学・東京工芸大学非常勤講師。2004年、「中平卓馬試論」で第10回重森弘淹写真評論賞受賞。監督作品に『カメラになった男—写真家 中平卓馬』がある。著書に『富士幻景—近代日本と富士の病』、『時の宙づり—生・写真・死』、『戦争と平和—〈報道写真〉が伝えたかった日本』、『森の探偵—無人カメラがとらえた日本の自然』(共著)ほか。IZU PHOTO MUSEUM研究員として「荒木経惟写真集展 アラーキー」、「宮崎学 自然の鉛筆」展、「増山たづ子 すべて写真になる日まで」展などを担当。