Masako Matsui/松井 正子
“聖顔 -Holy Countenance-” 2021/06/14 - 2021/06/27 12:00 - 20:00 会期中無休 / DAILY OPEN

写真①
松井正子は1970年代より、政治・宗教・文化の異なる国々で感じた共通の情緒を掬い取りたいと考え、ポルトガルとそのかつての植民地をはじめ、海外で撮影した写真を発表してきました。
今回の「聖顔 -Holy Countenance-」では、ヨーロッパの教会において祈りの対象とされているキリスト像と、教会へ至る道中で撮影した風景を展示します。
松井は初めてヨーロッパを訪れた時に立ち寄ったポルトガルの教会で、苦痛の表情を浮かべ、頭に茨の冠を載せ、手足を十字架に釘で打ち付けられたキリスト像に出会いました。幼少期から日本で目にすることの多かった、幽かに柔らかな表情を浮かべる仏像とは異質の宗教観に触れ、馴染めないものを感じながらも、どこか心惹かれる思いを抱きました。その後、数十年にわたってヨーロッパの街々を訪れるたびに、キリスト像をポートレイトのように撮ることが習慣化していきました。
昨年来の新型コロナウイルスや、頻繁に起こる地震をはじめとする自然災害への不安が、日々の生活の中で通奏低音として鳴り響いており、人の力の制御が及ばないことに遭遇する機会が増していることをだれもが肌で感じています。「祈り」という人間特有の見えないものとの対話、その対象のひとつである「聖なる顔」を、この今という時に、それを包む静謐な風景とともに、ぜひご高覧ください。

展示内容
インクジェットプリント、モノクロ、約30点