photographers’ gallery 企画 写真 川口 和之 / 映像 長船 恒利
“沖縄行” 2015/11/29 - 2015/12/08 12:00 - 18:00 会期中無休 / DAILY OPEN

    川口 和之 “沖縄幻視行”
    川口和之 “沖縄幻視行” より 

    この度、photographers’ galleryでは企画展「沖縄行」を開催する運びとなりました。
    本展はいずれも1970年代の沖縄で撮影された川口和之氏による写真展示と長船恒利氏による映像作品で構成されます。
    両氏とも、数多くの自主運営ギャラリーが活発に活動していた70年代に制作と発表を始めています。川口氏は77年に兵庫県姫路市にて写真同人「PHOTO STREET」を結成し、長船氏は静岡県藤枝市を拠点に様々なネットワークを作りながら数多くの発表を行ってきました。本展は、会期中に開催する関連イベントとあわせて「WORKSHOP 写真学校」以後の自主ギャラリー、東松照明教室の「PUT」、森山大道教室の「CAMP」、綜合写真専門学校の「プリズム」、沖縄の「あーまん」などの活動を知るうえでも貴重な機会になるでしょう。

    ※12月5日(土)はトークイベント開催のため、16時半〜18時頃までは展覧いただけません。又、18時半〜20時までは展示会場にてレセプションを開催しておりますが、ご覧いただけます。

    川口 和之 “沖縄幻視行” / photographers’ gallery

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    大阪南港から船で一昼夜をかけて那覇港に着いた時、車は右を走っていた。76年夏、八重山から本島を巡り様々な人々に出会った事をきっかけに、繰り返し沖縄を訪れ、写真との関係を今に至るまで続ける事になる。40年に亘る沖縄とのかかわりの中で、今回はフィルム時代に撮影した物を中心に写真集を編んだ。

    長い時を経て光の化石となった膨大なネガに向き合うと、視えないものを見ようともがいていた時代の記憶が瞬時に蘇る。「沖縄幻視行」は、37年前に発表した当時のタイトルだが、「写真になったものを通して他者に伝えるコミュニケーション」が写真行為だとすれば、変貌を続ける沖縄の状況に向き合っていく時に意識の底で持ち続けるべき言葉と信じている。これからも視えないものが見えたと想える時を希求しながら写真と共に彷徨う事を繰り返していくのだろう。

    初期の「沖縄幻視行」は1978年に13×18の印画紙で48枚をプリントして製本した物を私家版写真集として30部発行し、1993年に大宮のGallery温々で個展を行っている。76年から78年秋まで4回の沖縄行を纏めた物だったが、宮古・八重山の写真だけで構成されていた。

    私の40年以上に亘る写真活動の中で「ぬじゅん展の1週間」がメルクマークになっている事を意識し始めてから、長い時が経っていた。2007年に長船さんからぬじゅん展を記録した映像作品を送って頂き、

    当時の記憶を蘇らせた事をきっかけに昔のネガを再検証し始める事になる。その過程で2010年に発行した写真集『ONLY YESTERDAY』が生まれ、更に数多くの沖縄本島で撮られた写真や79年のぬじゅん展の記憶やネガ、その後のフィルム時代の写真を入れて再構成し、2冊目の写真集として出版した物が、2015年蒼穹舎版『沖縄幻視行』である。

    今回、長船さんの映像作品と私のフィルム時代の沖縄を纏めた写真で二人展とする機会を得た。長船さんが初めて沖縄に入って撮られた写真群は79年4月にPUTで「在るものⅥ」として発表されているが、その当時長船氏が示した文章に「在るもの」から飛躍するきっかけと混沌に向かう予兆が示されている。

    「今私たちがやろうとしている事は、強靭なコンセプトに裏打ちされていながらも、写真のコンセプトを裏切っていく、その二段階の飛躍なのだ。そのことを支えるのは写された対象物への価値ではなくて、写真そのもののバイタリティこそが大事なのだ。」

    沖縄が持っている強烈な磁場に当てられた長船氏の迷いと決意が記された文章と、その想いを同じくして既に35年が経過した。強靭なコンセプトを偶然が裏切る構図を自己認識し肯定する作業が写真行為である側面は間違いなく存在する。 写真行為をめぐる希望とその相反する諦念は深く果てのない道である。

    川口和之
    展示内容/ピグメントプリント 8×10インチ他  約60点


    長船 恒利 “ぬじゅん in 沖縄・大和 1979” / KULA PHOTO GALLERY

    長船氏撮影風景
    長船氏撮影風景
    DVDジャケット
    DVDジャケット


    1979年に開催された写真展「ぬじゅん in 沖縄・大和」の折に撮影された16mm映像作品。日本へ復帰後7年の沖縄。写された映像は展示会場から那覇通り、市場、首里、コザ、本部、糸満、摩文仁を気まぐれに巡る。
    この映像作品は79年4月に一度だけ自主運営ギャラリーPUT(東京)にて上映した後、沈黙していましたが、
    2007年に「在るもの Ⅵ」(1979年)で発表された写真を加えて再編集をした後、同年の沖縄県立博物館・美術館のオープニング・シンポジウムで上映されました。
    今回8年ぶりに東京で上映いたします。

    展示内容/DVDプロジェクション 17分53秒 再編集版 2007年


    関連イベント

    [トークイベント]
    12月5日(土)17:00〜18:00
    川口和之(写真家)
    浜昇(写真家)
    村上仁一(日本カメラ編集部)

    70年代に出現したさまざまな自主ギャラリーの活動に関して、当事者である写真家から詳細な証言を直接聞くことのできる貴重な機会となるでしょう。当時の写真家たちの状況とそれぞれのギャラリーの活動の違い、「ぬじゅん展」以降の沖縄との関わりから現在へと話題を繋げていく予定です。このイベントのために各氏所蔵のお宝資料も!ぜひご参加ください。

    会 場:photographers’ gallery
    参加費:500円
    定 員:25名(要予約)

    下記の予約フォームよりお申し込みください。
    https://ssl.form-mailer.jp/fms/7b4ecbaa400537

    [レセプションパーティー]
    12月5日(土)18:30〜20:00

    川口和之(写真家)
    1958年兵庫県生まれ。1977年「PHOTO STREET」創設メンバー。以後現在まで個展・グループ展多数。2015年「PHOTO STREETの活動」により第27回「写真の会賞」受賞。主な写真集に『ONLY YESTERDAY』(蒼穹舎、2010年)『沖縄幻視行』(蒼穹舎、2015年)略歴詳細は下記参照。

    浜昇(写真家)
    1946年東京生まれ。早稲田大学卒業。ワークショップ東松照明教室(第二期、1975年)に入塾し、塾生からなる自主ギャラリー「PUT」の設立に参加(1976年)。「今日の写真・展77」、「ぬじゅんin沖縄・大和展」、「79-80写真はいま…展」、「琉球烈像―写真で見るオキナワ」、「写真0年 沖縄」ほか個展・グループ展多数。写真公園林を設立(1987)。写真集『フロムスクラッチ』(写真公園林、1990年)、『VACANT LAND 1989』(photographers’ gallery、2007年)

    村上仁一(日本カメラ編集部)
    1977年東京生まれ。東京ビジュアルアーツ卒業。第16回写真ひとつぼ展グランプリ(2000年)、第5回ビジュアルアーツフォトアワード大賞(2007年)を受賞。写真集『雲隠れ温泉行き』(青幻舎、2007年)を出版。2008年より、『日本カメラ』の編集者として現在に至る。2015年、前作に新たな写真を加え再編集した新版写真集『雲隠れ温泉行』(roshin books)を出版。

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