Yu Shinoda/篠田 優
“Fragments of the place 2017-2019” 2024/03/29 - 2024/04/07 12:00 - 20:00 会期中無休 / DAILY OPEN
本展覧会「Fragments of the place 2017-2019」を構成する写真は長野県信濃美術館を被写体としています。篠田は2017年に開催された同館のクロージング展「長野県信濃美術館クロージング ネオヴィジョン 新たな広がり」に招聘されてから、2019年に同建築が解体されるその時まで撮影を続けました。
長野県信濃美術館は1966年に開館して以来、特徴的なファサードを持つ美術館として、善光寺の至近に建つその立地も相まって、人々に長く親しまれてきました。そうした場所の終わりに際して篠田がレンズを向けたのは、建物の細部や周囲の環境――たとえば渡り廊下を支える柱や廊下に置かれたソファー、外壁におちる木々の影――でした。それらは美術館を長年にわたって支えながらも、その解体に際しては特に注目されることがなかったといっても過言ではありません。そうしたものたちの姿を可能な限り覚えておくために写真を撮ったのだと、篠田は言葉にしています。解体を経たのちも残り続けるそれらのイメージは、ある時のある場所において確かに存在していたものたちとの、篠田にとっては何ものにも代えがたい、交感の記録なのです。
長野県信濃美術館は1966年に開館して以来、特徴的なファサードを持つ美術館として、善光寺の至近に建つその立地も相まって、人々に長く親しまれてきました。そうした場所の終わりに際して篠田がレンズを向けたのは、建物の細部や周囲の環境――たとえば渡り廊下を支える柱や廊下に置かれたソファー、外壁におちる木々の影――でした。それらは美術館を長年にわたって支えながらも、その解体に際しては特に注目されることがなかったといっても過言ではありません。そうしたものたちの姿を可能な限り覚えておくために写真を撮ったのだと、篠田は言葉にしています。解体を経たのちも残り続けるそれらのイメージは、ある時のある場所において確かに存在していたものたちとの、篠田にとっては何ものにも代えがたい、交感の記録なのです。
それほど多くの枚数を撮影したわけではない。むしろ、少ないともいえるだろう。しかし、その一枚一枚はわたしにとって賜物である。もし美術館の歴史が公的なかたちで記されるとしても、わたしが撮影したようなものたちは、そこに場所を得ないかもしれない。たとえ記されるとしても、おそらくそこは欄外や余白においてであろう。撮影をしながら思った、わたしもまたのそのようにして在るのだろうと。そうしたものたちの姿がいまここに残されている。私は写真にそれ以上のなにかを望みはしない。
篠田優
展示内容/インクジェットプリント、カラー、約19点
展示風景
【同時開催】
Kota Kishi/岸幸太「潮騒」
2024年3月12日〜4月7日
KULA PHOTO GALLERY(photographers’ gallery同フロア)
Kota Kishi/岸幸太「潮騒」
2024年3月12日〜4月7日
KULA PHOTO GALLERY(photographers’ gallery同フロア)