この度、岸幸太の第一写真集『傷、見た目』が写真公園林より刊行される運びとなりました。つきましては、出版を記念し、本展覧会を開催いたします。また本展は、これまで岸が「傷、見た目」や「もの、しみる」、「釜ヶ崎─ひなた、彼方」、「釜ヶ崎盆暮」などと題し、都度発表してきた写真および未発表の写真を再構成し、2回に分けて展観する試みの第2部となります。(第1部は2020年12月に開催)
岸幸太は、2005年から2020年の15年にわたり、大阪の釜ヶ崎、東京の山谷、横浜の寿町を撮影し制作を続けてきました。かつて寄せ場と呼ばれたこれらの街は、現在、暮らす人々の高齢化が進み、寄せ場としての機能は低下しており、簡易宿泊所の建て替えや新しいホテルの誘致などによって急速に変化しています。写真を撮ることでそれぞれの街の歴史を嗅ぎ取ろうと探求を続ける岸は、なかでも釜ヶ崎の盆と暮れには毎年通い、そこに暮らす人々の姿や道端に捨てられた物の在りようを数多く捉えています。あまりに素っ気ないように写された人影、物の写真に、観念や感情の向こう側で無関心に注視するという作者の一貫した姿勢が感じられます。
稀有なドキュメンタリー、「傷、見た目」をぜひご高覧ください。
展示内容/ゼラチンシルバープリント、279×356mm、44点
https://pg-web.net/exhibition/kota-kishi-part-2/
【予約受付中!!】2月28日までのご予約で送料無料(2月28日発送予定)

釜ヶ崎、山谷、寿町を撃つ
ドヤ街と呼ばれる場所で撮影された写真は、自らが属する社会の傷としてここに差し出されている。写真家・岸幸太による第一写真集。高橋しげみ(キュレーター)、倉石信乃(詩人・批評家)による論考を収録。
誰にも告げずに、持ち物はなく、告げる言葉も持たずに、しかもさしたる覚悟もなく、弧立と移動を生きて死ぬこと。それは単に不幸というべきなのか。最後に遺された自由と呼ばれてしかるべきもの、その幾ばくが映し出されていることが、岸幸太の写真の「魅力」ではないのか。(倉石信乃)
岸が現場からもぎとって目の前に差し出す「傷」の写真の束は、知らず知らずのうちに彼らを「外部」として認識するよう馴致された私たちのまなざしの構造を変革しようとしている。……彼らの現場に私たちを立たせることで、あらゆる人々が絶望と孤独から脱する道を勝ち取るための、カメラを武器にした岸のたったひとりのまなざしの革命だ。(高橋しげみ)
岸幸太写真集『傷、見た目』
A4判/布クロス装上製/232頁/モノクロ204点収録
発行:写真公園林
発売:ソリレス書店
デザイン:纐纈友洋
印刷・製本:アイワード
発行日:2021年3月1日
定価:10,000円+税
ISBN: 978-4-908435-14-0
岸 幸太[きし・こうた]
写真家。1978年、千葉県生まれ。2003年、東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。2003年よりphotographers’ galleryに参加。多くの活動に携わるなか、『photographers’ gallery press no.14』(2019年)では、編集責任を務める。個展、グループ展多数。これまで発表した作品集に、『welcome』(photographers’ gallery、2004年)、『ガラクタと写真』(私家版、2014年)、『Baseball』(私家版、2014年)、『GAREKI Heart Mother』(私家版、2016年)がある。VOCA展2015にて奨励賞を受賞。

KYOTO EXPERIMENTのプログラムの一環として、京都伝統産業ミュージアム企画展示室にて「小原真史 イッツ・ア・スモールワールド:帝国の祭典と人間の展示」が開催中です。『photographers’ gallery press no.14』にて特集した「「人類館」の写真を読む」での誌面キュレーションを基点に、約1500点の写真や絵葉書などのコレクションと約200点のスライドで構成されています。ぜひご覧ください。
◉『photographers’ gallery press no.14』
特集:「人類館」の写真を読む
「人間の展示」に関する図版約200点を掲載。本展の振り返りにぜひお求めください↓↓
https://pg-web.net/shop/pg-press-file/photographers-gallery-press-no-14/
2019年12月20日発売/B5判/360頁/2750円(税込)

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見られる身体の歴史
19世紀末から20世紀初頭の欧米では、博覧会が隆盛期を迎え、人々がモノの展示を通じて新たな世界認識を得る空間が作り出されていた。初期の万博は、産業製品の先進性にしのぎを削る「産業の祭典」という側面が強かったが、やがて植民地拡大にまい進する帝国主義国がその国威をアピールするショーケースのような空間になっていく。日本でも1903年の第五回内国勧業博覧会で植民地・台湾のパビリオンが建設され、そのほかにも余興施設として「内地」周辺の「異民族」を展示する「学術人類館」と呼ばれる施設も登場した。
インディペンデント・キュレーターの小原真史が企画した本展では、第四回内国勧業博覧会跡地の岡崎エリアに位置する京都伝統産業ミュージアムを舞台に、日本における博覧会初の人間の展示施設となった「学術人類館」にまつわる新発見写真や世界各国で行われた同様の資料約1000点などにより、この時代の人々が植民地や異文化をどうイメージしていたか、またその欲望の所在を探る。
舞台芸術祭の一環として開催される本展は、観客とパフォーマーとの「見る/見られる」という関係性や、西洋の他者として位置付けられてきた身体の歴史をたどるという意味で、大きな意義をもつだろう。2025年大阪万博を控えた関西において、博覧会が幻視させてきた明るい未来像の陰の部分にスポットライトを当てることで、グローバリズムの綻びや人種差別の問題、国家イベントの意味を考えてみよう。
会期:2月6日(土) – 2月28日(日)
時間:9:00–17:00 (入館は16:30まで)
*2.15のみ休館。
*混雑状況により、入場制限をさせていただく可能性があります。
会場:京都伝統産業ミュージアム 企画展示室
〒606-8343 京都市左京区岡崎成勝寺町9住所の1 京都市勧業館みやこめっせ 地下1階
当日券 一般: ¥500 ユース・学生: ¥300 高校生以下: 無料
【 トークイベント「博覧会・博物館と人間の展示」】
2月28日(日) 14:00-16:00
吉田憲司(国立民族学博物館館長)、 小原真史
オンライン配信
配信URL
https://www.youtube.com/watch?v=TOcn8Ft30KA&feature=youtu.be
KYOTO EXPERIMENT
https://kyoto-ex.jp/shows/2021s-masashi-kohara/
1978年生まれ。映像作家。東京藝術大学・東京工芸大学非常勤講師。2004年、「中平卓馬試論」で第10回重森弘淹写真評論賞受賞。監督作品に『カメラになった男—写真家 中平卓馬』がある。著書に『富士幻景—近代日本と富士の病』、『時の宙づり—生・写真・死』、『戦争と平和—〈報道写真〉が伝えたかった日本』、『森の探偵—無人カメラがとらえた日本の自然』(共著)ほか。IZU PHOTO MUSEUM研究員として「荒木経惟写真集展 アラーキー」、「宮崎学 自然の鉛筆」展、「増山たづ子 すべて写真になる日まで」展などを担当。