Tomonori Ryu/笠 友紀
“QUOTIDIAN” 2017/06/20 - 2017/07/02 12:00 - 20:00 会期中無休 / DAILY OPEN

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笠友紀は、2002年photographers’galleryでの『ON THE ROAD 2002』の展示後、東京から故郷である福岡へ戻りました。2015年『日本東海岸』、2016年『浜通り雨のあとの余瀝』と東北地方を撮影し、15年ぶりに展示をした笠は、東京にいた頃の自分の写真を見返す機会を得ます。
本展では、その際に再び見いだした、16年前に東京の路上で写したモノクロ写真を発表します。そのプリントは画像全体が黒く沈んだようなものや、白くとんでしまっているものなど変化をつけて制作されています。

展示内容/ゼラチンシルバープリント、203×254mm、約30点


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久しぶりにネガファイルを手に取る。一昨年から展示している東北地方の写真があるか知りたかった。けれどもこれまでに撮りためていた数多くあるネガを見ながら、ほとんど東北に滞在していないと思い起こす。
昔のネガを眺めているといろんなことを思い出す。
2001年9月11日は、アメリカで同時多発的に発生したテロ事件があった。アルバイト後にギャラリーメンバーからあった携帯電話の着信に気づく。帰宅するとしばらくしてそのメンバーがやって来た。テレビの中の光景は只事でなかった。この時に写真を撮ったがその後の展示『ON THE ROAD 2002』で使うことはなかった。
次のシートは、新宿区大久保に部屋を借りていた頃に撮影していたものだった。ギャラリーからなるべく近くにと選んだ部屋は一軒家の二階で一階には大家が住んでいた。風呂、トイレ無しの部屋だったので、銭湯か、そこよりも安い深夜もやっているコインシャワーまで歩いて通っていた。
近くには神田川と都庁があり眺めながら帰った。
当時は長尺フィルムを適宜切断してパトローネに装填したものを使い、街の路上に珍奇を期待せず、咲く花には感心しないで撮影をくり返していた。自宅の一間でフィルム現像して、暗室作業をしていたが、どうも満足がいかず、展示に使用するでもないプリントがまとまって残ったりもした。
当時は発表しなかった写真だが、時間が経過したからこそ、再びやる気にさせたのだろう。それは写真展をするのに幸いなことだった。
ネガファイルの上から順に路上で写した、どことなく同じようなものも気の向くまま印画紙に露光していく。写真展のタイトルは平凡な、いつもの1日という『QUOTIDIAN』とした。

笠友紀



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