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写真と「創造」――シェリー・レヴィーン《After Walker Evans》をめぐって第3回北島敬三WORKSHOP写真塾 公開講座

190112 内容紹介(文責:橋本一径)

130年あまりの時を隔てた、写真の複製をめぐるこれら二つの「事件」を通して浮かび上がるのは、「写真」と「創造」との錯綜した関係である。ルスールの写真に著作権が認められなかったのは、ルスールが何も「創造」していないと見なされたからに他ならない。芸術家の精神や叡智を介して生み出されたのが「創造物」であり、そのような「創造物」こそが、1793年7月19-24日の法令で定められた著作権による保護の対象となる「作品」であると考えられてきた。写真のイメージは芸術家による「創造」ではなく、機械による「複製」にすぎないというわけである。

一方で芸術作品の創造行為は、とりわけルネサンス期以降、「ミメーシス」すなわち「模倣」という概念とも結び付けられて語られてきた。芸術家が自然等を巧みに「模倣」したものこそが芸術作品であり、それは神の「似姿」としての人間による、神の創造行為の反復でもある。芸術家が作品を創造するたびに繰り返されているのは、神による世界の創造であり、芸術家とは言わば小さな神である。男性である神を模倣する存在として、芸術家の役割は当然のように男性たちによって担われることにもなった。

だがなぜ「模倣」は芸術家の媒介を必要とするのだろうか? 自然物を完璧に「模倣」するためには、芸術家の手の介在はむしろ邪魔なだけではないのだろうか。デスマスクのような「型取り」においてすでにくすぶっていたこの問いは、写真において前景化する。自然をより正確に「模倣」する技術としての写真は、ミメーシス文化の産物であり、ミメーシスの追求には芸術家の存在は不要であることを、写真は明るみに出してしまった。

とはいえ写真によって「模倣」された自然物などの被写体は、必ずしも「ミメーシス」の完成形と言えるものでもなかった。被写体は写真によって、小さな二次元のイメージに還元される。写真に写るイメージは、当然ながら被写体そのものではない。にもかかわらず、ルスール氏の写真の産業宮が、現実の産業宮と同じ「公共物」と見なされたように、写真と被写体との間の差異は無視される。写真に著作権が認められるようになってからも、この傾向は基本的に変わることはなかった。

シェリー・レヴィーンの《After Walker Evans》が「作品」として成立しているとすれば、それはまさしく写真と被写体との間においてである。レヴィーンはそこにおいて、何かを「創造」しているのだろうか? 問われているのは、「アプロプリエーション」や「アンフラマンス」のような現代美術の枠組みには収まりきらない、より大きな問題、つまり「写真とは何か」という問題である。


◎北島敬三WORKSHOP写真塾 公開講座
「写真と「創造」――シェリー・レヴィーン《After Walker Evans》をめぐって」

開催日:2019年1月12日(土)
会場:photographers’ gallery
講演:橋本一径 16:00〜17:00
鼎談:橋本一径、倉石信乃、北島敬三(司会) 17:10〜18:30
聴講費:2,000円
定員25名・要予約

※本講座の聴講は、北島敬三WORKSHOP写真塾の受講者を問わず、どなたでもご参加いただけます。
※ご予約後、お客様のご都合によりキャンセルされる場合はお手数ですがご連絡をお願い致します。連絡なしでご欠席の場合、後日聴講費をご請求させていただく場合がございます。スペースの都合上、定員に限りがありますので、ご理解のほどなにとぞお願い致します。

▼ご予約は下記フォームよりお申込みください。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/2745dc89600949

▼北島敬三WORKSHOP写真塾についてはコチラ▼
https://pg-web.net/workshop/workshop-2017/

▼これまでの公開講座▼
https://pg-web.net/tags/workshop/

橋本一径/Kazumichi Hashimoto

1974年生まれ。早稲田大学文学学術院教授。ナント大学理工学部DEA(修士)課程修了/東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は表象文化論、イメージ論。著書に『指紋論 心霊主義から生体認証まで』(青土社、2010)、訳書にジョルジュ・ディディ=ユベルマン『イメージ、それでもなお』(平凡社、2006)、ピエール・ルジャンドル『同一性の謎 知ることと主体の闇』(以文社、2012)など。論文に「稲妻写真論」「火災写真論」「三脚写真論」(いずれも『photographers’ gallery press』収録)など。

倉石信乃/Shino Kuraishi

1963年生まれ。明治大学教授。近現代美術史・写真史。1988~ 2007年、横浜美術館学芸員としてマン・レイ展、ロバート・ フランク展、菅木志雄展、中平卓馬展、李禹煥展などを担当。 1998年重森弘淹写真評論賞、 2011年日本写真協会賞学芸賞を受賞。主な著書に『スナップショット―写真の輝き』(2010年)、『反写真論』(1999年)、『失楽園 風景表現の近代 1870-1945』(共著、2004年)など。

北島敬三/Keizo Kitajima

1954年生まれ。日本写真協会新人賞、木村伊兵衛賞、伊奈信男賞、日本写真協会作家賞、東川賞国内作家賞、さがみはら国内作家賞を受賞。写真集に『写真特急便 東京』(全12冊)、『NEW YORK』、『A.D. 1991』、近刊に『PHOTO EXPRESS TOKYO』、『USSR 1991』など。国内外で写真展を多数開催。現在、2001 年に創設した photographers’ gallery を拠点に、「UNTITLED RECORDS」を制作・発表している。


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Upcoming

Kazuyuki Kawaguchi/川口 和之
“PROSPECTS Vol.3”

2019/01/13 – 2019/01/3012:00-20:00
会期中無休 / DAILY OPEN

2017年に川口はphotographers’ galleryで、生活拠点であった関西から瀬戸内沿岸や九州の街区を「PROSPECTS」の一義である《眺望》や《観察》といった意味に加え、当地の歴史性を踏まえながら、その《将来への展望》や《予兆》を写真を撮ることによって見出していく試みとして、2回に分けて展覧し様々な反響を得ました。
そのシリーズの3回目にあたる今回の展示では東京に転居した後、撮影の範囲を関東・東北から九州まで全国各地の多様な小都市に拡げ、江戸から明治、大正、昭和、平成の時代を経て、かつて繁栄を謳歌した街が穏やかに衰退していった様々な痕跡から、その営みの澱を記録していきます。
様々な地方都市で、ほどなく消えていくであろう光景から見えてくる「PROSPECTS」の第三章をご覧ください。

▼展示内容
photographers’ gallery/ピグメントプリント、329x483mm、20点
KULA PHOTO GALLERY/ピグメントプリント、594x841mm、5点
https://pg-web.net/exhibition/prospects-vol-3/


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展覧会:笹岡啓子「プリピクテ国際写真賞 東京展」Prix Pictet Japan Award Exhibition

代官山ヒルサイドフォーラムにて開催される「プリピクテ国際写真賞 東京展」に笹岡啓子の作品が出品されます。

*日時:2018年12月13日(木)-12月29日(土)
*会場:ヒルサイドフォーラム
 〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟
 11:00-19:00 ※最終日17:00終了
*入場料無料
*主催:Pictet Group
http://hillsideterrace.com/events/5636/?fbclid=IwAR3Kdn9m5tP7GJKBs87Gn4BxiPRTj2IljnDZlEG_xsk9Mn5LlzOuZq0Q_G0


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北島敬三連続写真集
『Untitled Records Vol. 15』

北島敬三の連続写真集、第15号。年4回のペースで全20刊以上を刊行予定です。

北島敬三連続写真集
『UNTITLED RECORDS Vol. 15』
撮影地: 岐阜、若狭、魚津、胎内、松江、長門、館林、新潟、長野、秩父、川根元、村上、横手、天塩
ISBN 978-4-907865-27-6│B4判変型│カラー16頁│定価2000円+税
発行 KULA
発売 photographers’gallery

プリント付Special Editon
エディション12、特製函
価格:30,000円+税
https://pg-web.net/shop/pg-kula/ur15/



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北島敬三 WORKSHOP 写真塾受講者募集中!

5月より北島敬三が「北島敬三 WORKSHOP 写真塾」を開講しました。基本は一対一での個別指導ですが、ゲスト講師を招いたグループ講評会も不定期に開催します。
経験豊富な講師との対話から生まれる具体性と緊張感は必至、加えて全く別の視点からもたらされるゲスト講師からの意外な指摘や提案、またほかの受講生の制作姿勢を刺激的に受け取るチャンスです!5月開講後も随時受付中です。

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北島敬三 WORKSHOP 写真塾では、写真作品を制作するための実践的かつ継続的な指導を行います。参加者との一対一の個別的対話を通じて、作品の内容、形式、形態さらに発表方法に至るまで、さまざまな角度から検討を加えながら、その作品の強度と完成度を高めていきます。また、そうした制作実践の経験によって、写真への理解がより深まることが期待されます。
参加者は、初めて写真作品を作る方からすでに制作中の方まで、キャリアは問いません。真剣に制作に向き合おうとしている方なら、どなたでも歓迎します。
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お申込み・詳細はコチラ↓
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