photographers’ gallery press no. 13

photographers' gallery press no. 13

photographers’ gallery press no. 13

¥2,200

ダムで水底に沈んだ岐阜県徳山村の写真約10万カットを残した増山たづ子をめぐるトークや、フランスの思想家ジョルジュ・ディディ=ユベルマンの初邦訳をはじめ、思想・美術・写真など幅広いジャンルの執筆陣による論考を収録。好評を博し売切となっていた既刊号から、思想家・美術史家・写真史家へのロング・インタビュー3本などを再録。



〈Content〉


年1回発行の機関誌『photographers’ gallery press』の第13号。
ダムで水底に沈んだ岐阜県徳山村の写真約10万カットを残した増山たづ子をめぐるトークや、いまもっとも注目を集めるフランスの思想家ジョルジュ・ディディ=ユベルマンの初邦訳をはじめ、思想・美術・写真など幅広いジャンルの執筆陣による論考を収録。好評を博し売切となっていた既刊号から、思想家・美術史家・写真史家へのロング・インタビュー3本などを再録。

目次

[収録]増山たづ子 ミナシマイのあとに
「増山たづ子 ミナシマイのあとに」展関連トーク1
赤坂憲雄×野部博子×小原真史
「増山たづ子 ミナシマイのあとに」展関連トーク2
大牧冨士夫×篠田通弘×小原真史

[収録]「どこにいても」――墓とその代補をめぐって
鵜飼哲

似島の位置
倉石信乃 

三脚写真論
橋本一径 

[邦訳]なんという感動! なんという感動?
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン 橋本一径訳

[再録]イメージで思考する
――ジョルジュ・ディディ=ユベルマンに聞く(和英併記)
聞き手 橋本一径
Think by Images: An Interview by HASHIMOTO Kazumichi with Georges Didi-Huberman

[再録]写真史を書き換える
――ジェフリー・バッチェンに聞く(和英併記)
聞き手 甲斐義明
Rewriting the History of Photography: An Interview by KAI Yoshiaki with Geoffrey Batchen

[再録]解説:ジェフリー・バッチェン『Forget Me Not――写真と記憶』
前川修 

[再録]コンテンポラリー・フォトグラフィーと反演劇性の伝統
――マイケル・フリードに聞く(和英併記)
聞き手 甲斐義明
Contemporary Photography and the Antitheatrical Tradition: An Interview by KAI Yoshiaki with Michael Fried

[再録]マイケル・フリード『なぜ写真はいま、かつてないほど美術として重要なのか』についての覚書(和英併記)
林道郎
Notes on Michael Fried’s Why Photography Matters as Art as Never Before HAYASHI Michio

解説:その後のジェフリー・バッチェンとマイケル・フリード
甲斐義明 



photographers’ gallery press no. 13

B5判/242頁/日・英
発行:photographers’ gallery
発行責任:北島敬三
編集責任:米田拓朗
デザイン:纐纈友洋
発行日:2015年11月20日
定価:2,000円+税


contents

[収録]増山たづ子 ミナシマイのあとに
赤坂憲雄×野部博子×小原真史
大牧冨士夫×篠田通弘×小原真史


いまはダムの水底に沈んでしまった岐阜県徳山村を撮影し続けた増山たづ子。人々の笑顔の裏側で起こっていた分断と対立、戦争とダムが地続きだった村の歴史。10万カットもの写真を残すまでに至ったその背景、そして彼女の写真が現在に投げかける問いとは。「増山たづ子 ミナシマイのあとに」展(2015年8〜9月)会期中に開催した2回のトークイベントを収録。
増山たづ子《櫨原分校、1983年》
増山たづ子《櫨原分校、1983年》
[収録]「どこにいても」――墓とその代補をめぐって
鵜飼哲


自らの死後の埋葬方法を他者の決定に委ねたジャック・デリダ。その非決断の決断はいったいどういう意味をもつのか。土葬と火葬、オイディプスとアンティゴネ、第二次大戦中に焼却炉で焼かれたユダヤ人と太平洋戦争で亡くなった日本人、そして著者自身が直面した両親の埋葬……死者に忠実であるとは、いったいどうあることなのか。2014年8月開催の、ICANOF企画展「矢野静明──種差ENCLAVE」レクチュアを収録。



似島の位置
倉石信乃


原爆投下直後の広島では、港から4キロ離れた小さな島・似島(にのしま)に、負傷者と屍体が次々と運び込まれていた。本土の近傍にありながら、同時に決定的に切り離されてある島の「位置」。そこには、記憶の忘失や性急な組み替えを容赦しない、被爆の記憶が刻み込まれている──。検疫所、野戦病院、火葬場。日清戦争以後、戦争に翻弄された似島のポリフォニックな歴史と記憶を精緻にたどる珠玉の孤島/原爆写真論。
笹岡啓子《ninoshima》2015年
笹岡啓子《ninoshima》2015年
三脚写真論
橋本一径


ダゲールが自室の窓から撮影したタンプル大通りに佇む、靴磨き中の男。歴史上初めて写真に写し出された人物の一人として有名な彼だが、一方でダゲールのカメラがどのような姿勢で床の上に立っていたのかは定かではない──。ドローンや自撮り棒にまで連なる三脚の歴史を紐解いて書き下ろされた、異色のセルフポートレート写真論。
L. J. M. Daguerre, « Vue du boulevard du Temple », 1839, Michel Frizot (sous la dir. de), Nouvelle histoire de la photographie, Paris, Larousse, 2001, p. 28.
L. J. M. Daguerre, « Vue du boulevard du Temple », 1839, Michel Frizot (sous la dir. de), Nouvelle histoire de la photographie, Paris, Larousse, 2001, p. 28.



[邦訳]なんという感動! なんという感動?
ジョルジュ・ディディ=ユベルマン
 橋本一径訳

ディディ=ユベルマンがフランスの子どもたち向けに行った講演を収録した『Quelle Émotion! Quelle Émotion?』(Édition Bayard, 2013)。私たちの感動は、私たち自身のものなのか。それは私たちの体に突然現れた、何かとても古いものではないだろうか。そして同時に、私たちの世界を変化させる行動の始まりではないだろうか……。写真・絵画・映画などのイメージを列挙し、感動のもつ受動性と能動性に、世界を変化させるための微かな希望を読み解く、ディディ=ユベルマンの思想が詰まった講演を、質疑応答部を除き、まるごと初邦訳!
QQ 17
[再録]イメージで思考する
――ジョルジュ・ディディ=ユベルマンに聞く
(和英併記)
聞き手:橋本一径
Think by Images: An Interview by HASHIMOTO Kazumichi with Georges Didi-Huberman

写真・絵画・映画など、さまざまなジャンルを横断して、イメージをめぐる思考を展開する、哲学者・美術史家ジョルジュ・ディディ=ユベルマン。発見に満ち溢れる彼の思考に通底するものは何なのか、その答えを求めて本誌はパリに向かい、インタビュー(本邦初)を敢行。売切となっていた10号所収、ディディ=ユベルマンへのロング・インタビューを再録!
Georges Didi-Huberman
Georges Didi-Huberman



[再録]写真史を書き換える
――ジェフリー・バッチェンに聞く
(和英併記)
聞き手 甲斐義明
Rewriting the History of Photography: An Interview by KAI Yoshiaki with Geoffrey Batchen

[再録]解説:ジェフリー・バッチェン『Forget Me Not――写真と記憶』
前川修
 

写真の「起源」を問い、写真史の複数化を図る、いまもっともラディカルな写真史家ジェフリー・バッチェンへのインタビュー。ローカルな慣習のなかでつくられ大切にされてきたヴァナキュラーな写真などに注目し、写真史を換骨奪胎する著作『Forget Me Not』を解説した前川修の論考とともに再録。
Geoffrey Batchen
Geoffrey Batchen
[再録]コンテンポラリー・フォトグラフィーと反演劇性の伝統――マイケル・フリードに聞く(和英併記)
聞き手 甲斐義明
Contemporary Photography and the Antitheatrical Tradition: An Interview by KAI Yoshiaki with Michael Fried

[再録]マイケル・フリード『なぜ写真はいま、かつてないほど美術として重要なのか』についての覚書(和英併記)
林道郎

Notes on Michael Fried’s Why Photography Matters as Art as Never Before HAYASHI Michio

美術史に残る批評を1960年代に数多く発表し、以後の美術制作・批評に多大な影響をもたらした美術批評家マイケル・フリード。2008年秋に発表した『なぜ写真はいま、かつてないほど美術として重要なのか Why photography Matters as Art as Never Before』に収められた現代写真をめぐって発せられた言葉は、何を意味するのか? そして、なぜ、いま、写真なのか? マイケル・フリードへのロング・インタビューと、トーマス・デマンド論を中心にフリードの写真論を批評する林道郎の論考を、売切となっていた9号から再録!
MIchael Fried
Michael Fried



解説:その後のジェフリー・バッチェンとマイケル・フリード
甲斐義明
 

「写真オブジェ」と「写真と動画の接近」という、近年の写真表現の二大傾向をそれぞれ読み解く、バッチェンとフリード。インタビュー以降のふたりの著作を紹介するとともに、現在の写真批評におけるふたりの批評の位置を検討する。

Thomas Demand, Pacific Sun, 2012, Video, 2,02 min, stereo (frame 557 and 588). Michael Fried, Another Light: Jacques-Louis David to Thomas Demand (London and New York: Yale University Press, 2014), 261.
Thomas Demand, Pacific Sun, 2012, Video, 2,02 min, stereo (frame 557 and 588). Michael Fried, Another Light: Jacques-Louis David to Thomas Demand (London and New York: Yale University
Press, 2014), 261.



Contents

After the End of Everything

“MASUYAMA Tazuko: After the End of Everything” Conversations 1 (Jp)
Norio Akasaka, Hiroko Nobe, Masashi Kohara

“MASUYAMA Tazuko: After the End of Everything” Conversations 2 (Jp)
Fujio Omaki, Michihiro Shinoda, Masashi Kohara

“Wherever I Might Be”:
Tomb and Its Supplements (Jp)
Satoshi Ukai

A Position of Ninoshima (Jp)
Shino Kuraishi

Tripod and Photography (Jp)
Kazumichi Hashimoto

Quelle Émotion! Quelle Émotion? (Jp)
Georges Didi-Huberman
translated by Kazumichi Hashimoto

Think by Images:
An Interview with Georges Didi-Huberman (Jp/En)
by Kazumichi Hashimoto

Rewriting the History of Photography:
An Interview with Geoffrey Batchen (Jp/En)
by Yoshiaki Kai

Commentary on Geoffrey Batchen’s Forget Me Not: Photography and Remembrance (Jp)
Osamu Maekawa

Contemporary Photography and the Antitheatrical Tradition:
An Interview with Michael Fried (Jp/En)
by Yoshiaki Kai

Notes on Michael Fried’s Why Photography Matters as Art as Never Before (Jp/En)
Michio Hayashi

On Recent Writings of Geoffrey Batchen and Michael Fried (Jp)
Yoshiaki Kai


photographers’ gallery press no. 13
Publisher: photographers’ gallery
Book size: B5 size(W182 × H257 mm)
Number of pages: 242 pages
Date of issue: November 20, 2015
Price: 2,160 yen (tax included)

Responsible for issuing: Keizo Kitajima
Editor in chief: Takuro Yoneda
Design: Tomohiro Koketsu