中村早はここ数年継続して男性ヌードを撮影しています。《bed scene》は真っ暗な部屋の中、スタンドライトの淡い光だけを頼りに、ベッドの上で裸になった男性を撮影したシリーズです。裸体の全体像ではなく、脚、胸、陰部や顔といった部位がシーツの皺や寝具とともに写しだされています。ベッドをともにしているかのような被写体との距離は淫靡な雰囲気を漂わせながらも、薄暗闇で中判カメラを用いることで生じる慎重なピント合わせやスローシャッターが被写体を凝視する時間を濃密にし、裸体を精緻に写し出します。

互いの身体を求め、ともにベッドに入り、抱き合うときでさえ、目の前の身体を見過ごしてはいないでしょうか。