Hitoshi Toyoda/トヨダ ヒトシ
“4つの映像日記” 2010/11/18 - 2010/11/20 12:00 - 20:00 月曜休 / MON CLOSED

トヨダヒトシは、ニューヨークを生活と活動の拠点に、一貫してスライドショーによる長・短編の映像日記を発表している作家です。何気ない日々の出来事を日記をつけるように写真に撮り重ねながらも、トヨダはそれらを印画紙に定着することはせず、消えていく映像として観客に提示していきます。そこには現れるものではなく消え去るもの、撮られたものではなく撮られなかったもの、そんな儚い存在を通して世界のありようを見つめる作家の目があります。

photographers’ galleryでは、11月18日、19日、20日の3日間、2007年以来3年ぶりとなるトヨダヒトシ氏の新作スライドショーを開催致します。新作「白い月」と「黒い月」の2作品に加え、旧作「NAZUNA」(2004-2007年) と長編映像日記の第一作目「An Elephant’s Tail — ゾウノシッポ」 (1999年) も上映されます。日本では今年最後となるトヨダ氏によるライブ上映です。どうぞお見逃しなく。

2年間かけてふたつの作品をつくった。闇を内包する光。光を内包する闇。仏教で使われる暦の中から「白い月」「黒い月」と名づけてみた。ひとつはある年のニューヨークでの日々。もうひとつは別の年の日本での時間。それぞれまったく別の作品だが、遠く離れていながら共振しあう2作品になった。

トヨダヒトシ


「黒い月」

「黒い月」(2010年 / 80 mins. / 35 mm film / silent)
「黒い月」(2010年 / 80 mins. / 35 mm film / silent)

初夏の日本/孤独感、疎外感による事件が矢継ぎばやに起った時期だった/ 7月の川/いつもの道/争いに勝った者の意見が正しいのか/鎌倉/「私にはなにもない」、と/花/午後/丘の上は思ったよりも風が強かった/いくつもの野/どんな風景も完結はせず、ただ光があり、時間があった。闇があった。/暮らし/夜/約束/秋

ある年の初夏から冬へと向かう、日本での日々。長編映像日記第7作。

「白い月」

「白い月」 2010年 / 60 mins. / 35 mm film / silent
「白い月」 2010年 / 60 mins. / 35 mm film / silent

ある4月の朝/この町に住みはじめて何年になるのだろう/台所の窓/エリー湖/寄せては返すもの/波のない日は底に沈んでいるものが見えた/友人との食卓/蚊柱/きのう、イラクの町で62人が亡くなった/なんでもない会話/いつもそこにいた/無差別の死/北の寺へ/寄せては返すもの/静かな光/冬へ

この年は日本へは帰らなかった。ニューヨークでの日々。長編映像日記第6作。

「Nazuna」

「Nazuna」2004-2007年 / 90 mins. / 35 mm film / silent
「Nazuna」2004-2007年 / 90 mins. / 35 mm film / silent

9.11.2001/うろたえたNY/11年振りの秋の東京を訪れた/日本のアーミッシュの村へ/アフタニスタンへの空爆は続く/ただ、/やがて来た春/長くなる滞在/写真に撮ったこと、撮れなかったこと、撮らなかったこと/白く小さな/東京/この景色もまた/秋/雨/見続けること

ある夏のブルックリンの裏庭から始まる1年数ヶ月の日々を綴った長編スライドショー。

「An Elephant’s Tail — ゾウノシッポ」

「An Elephant’s Tail  — ゾウノシッポ」1999年 / 40 mins. / 35 mm film / silent
「An Elephant’s Tail — ゾウノシッポ」1999年 / 40 mins. / 35 mm film / silent

1992年、ニューヨーク/窓からの眺め/冬から冬へ/エンパイア・ ステイト・ビル最上階で働いていた/迷い込んできた猫との生活/自分はここで一体何をしているのか/明け方の町/日常の力を教えてくれたガール・フレンド/川面の光/失ったものも/ブルックリン北端の町/風

旅をやめ、日記をつけるように写真を撮り始めた頃からの月日を3部構成で綴った長編映像日記第1作。